2025年8月26日
米沢の名残茄子:旨味が凝縮する、秋の訪れを告げる逸品

盆を過ぎ、朝晩の風に肌寒さを感じるようになった米沢。日中はまだ太陽が輝くものの、昼夜の寒暖差は次第に大きくなり、窓を開けっぱなしにしていると、ふと秋の気配を感じるようになりました。
この寒暖差は、実は「秋茄子」を格別に美味しくする大切な要素。植物は、昼に太陽の光を浴びて栄養を蓄え、夜に気温が下がると、その栄養分(旨味成分や糖分)を実にぎゅっと凝縮させます。これが、「秋茄子は嫁に食わすな」という昔からの言葉が生まれた、美味しさの秘密です。

寒暖差が育む、米沢「名残の茄子」の魅力
秋茄子は、夏の茄子に比べて実が引き締まり、水分が減る分、旨味と甘みが凝縮されるのが特徴です。また、夏の強い日差しから身を守る必要がないため、皮が柔らかく、種も少ない、なめらかな口当たりになります。
漬物としてお召し上がりいただく道の駅米沢の薄皮丸茄子や梵天丸茄子も例外ではありません。夏の「パリッ、ジュワッ」としたみずみずしい食感はそのままに、この時期のものは、ちょっぴり旨味が増すのです。
【薄皮丸茄子】と【梵天丸茄子】秋の食卓を彩る二つの顔

● 薄皮丸茄子:夏の名残と秋の予感
「パリッ」と歯切れの良い食感から、噛むほどに「ジュワッ」と溢れ出す、なめらかな果汁。夏の暑さの中、食欲をそそる爽やかな味わいで、多くのお客様に愛されてきた薄皮丸茄子。この時期のものは、寒暖差のおかげで、その果汁の中により深い旨味が加わっています。
ご飯に添えるだけで、シンプルながらも贅沢な一品に。日本の美しい季節の移ろいを、その一口で感じさせてくれる逸品です。

● 梵天丸茄子浅漬け:若き伊達の魂を継ぐ逸品
「梵天丸」とは、伊達政宗の幼名。その名にふさわしい、小さくても堂々とした存在感を放つ茄子です。薄皮丸茄子と同様に、こちらも「パリッ、ジュワッ」とした軽快な食感。
特にこの時期は、寒暖差で旨みがぎゅっと詰まり、より一層、素材の良さが際立ちます。歴史を愛する皆様にも、ぜひ味わっていただきたい、米沢の風土と知恵が育んだ美味しさです。